木曜の通知に、5%を割った報告が二件ありました。
**リガク・ホールディングス(268A)/Atom Investment, L.P./0.29%(▼-26.99) ******カシオ計算機(6952)/3D Investment Partners/3.99%(▼-1.04)
どちらも、その保有者について外から見える最後の一通です。以後は報告義務がなくなるので、この先どうするかは追えなくなります。
終わりの一行だから、たいしたことは書いていないだろう。そう思って両方の原本を開いたら、片方はその予想を大きく外れ、もう片方は別の意味で予想を外れました。
相手の名前が書いてあった、リガクのほう
表紙で、まず様式が違うことに気づきます。
【提出書類】は変更報告書No.5。ここまでは普通です。ただ【根拠条文】が「法第27条の25第1項及び第2項」になっている。ふだんの変更報告書は第1項だけです。
第2項は、短期大量譲渡に当たるときに加わります。 短い期間に大量に譲渡した場合、通常より多くのことを書かなければならない決まりで、その一つが譲渡の相手方です。
60日間の取得処分欄には、こう並んでいました。
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6月25日/3,786,400株/市場外・処分/相手方 野村證券/単価2,623円88銭
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8月12日/61,123,436株/市場外・処分/相手方 Onto Innovation Inc./単価1,850円
普通の変更報告書には、相手方を書く欄そのものがありません。市場外で処分したことは分かっても、誰に渡ったかは書かれない。それが出ているのは、この様式だからです。
担保契約等の欄には、4月21日にOnto Innovationとの間で株式譲渡契約を締結していたこと、8月12日にその決済が完了したことも書かれていました。
残った0.29%についても書いてありました。保有株券等の数は650,664株。取得資金の欄に、その内訳として「2024年7月11日の株式分割(1対200)により取得した650,664株」とあります。買って残したのではなく、分割で増えた分がそのまま残っている、という読み方ができます。
ここまでは、すべて今回の報告書のために書かれた内容です。 相手方も、契約の日付も、この一通で初めて出てきました。
四月に書かれた文が、そのまま載っていたカシオのほう
カシオのほうも、最初は同じように読んでいました。
保有目的の欄に、こう書いてあります。純投資、および状況に応じて経営陣への助言や重要提案行為を行うこと。そして【重要提案行為等】の欄には、その可能性がある、と。
降りていく報告書に、提案を行う可能性があると書いてある。意味がありそうに見えます。
ところが、前の報告書を開くと同じ文でした。
この保有者がカシオについて出した書類は二通だけです。4月2日提出の大量保有報告書(5.03%)と、今回の変更報告書No.1(3.99%)。4月の一通目に書かれた保有目的と重要提案行為等の欄は、一字一句そのまま、今回の二通目に載っていました。
書き換えられていない。それだけです。降りるにあたって何かを表明したのではなく、最初に書いた文が残っている。
更新しなかったのか、更新する必要がなかったのか、それは書いてありません。分かるのは、この文が四月に書かれたものだということだけです。
同じ「書いてある」でも、時点が違う
並べてみると、こうなります。
リガクの相手方・契約日・株式分割の内訳は、今回の報告書のために書かれたものでした。前の報告書には存在しません。
カシオの保有目的・重要提案行為等は、四月の記載がそのまま残ったものでした。今回の状況について書かれたものではありません。
どちらも「原本にそう書いてある」ことに変わりはない。けれど、いつ書かれたかが違います。
保有目的の欄は、報告のたびに書き直されるとはかぎりません。状況が変わらなければ、同じ文が何通にもわたって載り続けます。そこだけ見て「いまもそう考えている」と読むと、四月の文を八月の意思として受け取ることになります。
前の一通と、突き合わせる
書いてあることを読む、というのは、書いてある文を信じることではなくて、その文がいつ書かれたかまで含めて読むということでした。手順にすると、こうなります。
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根拠条文を見る。第27条の25の第1項だけか、第2項も付いているか。第2項があれば、相手方が書いてある
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担保契約等・取得資金の欄を見る。今回の事情が入っていることがある
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保有目的と重要提案行為等の欄は、前の報告書と並べる。同じ文なら、それは前に書かれた文
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変更報告書の番号を手がかりに、前の一通をたどる
同じ木曜、0.00%の報告も二件出ています。山大(7426)が▼-25.00、Gunosy(6047)×KDDIが▼-16.23(こちらは通知の表示までで、原本は開いていません)。
以前、0.00%と表示された保有者が実は50株持っていた話を書きました(→「0.00%回」)。あのときも、数字だけを見て終わりにしないという話でした。今回は、文字のほうにも同じことが言えた、というだけかもしれません。
最後の一通に何が書いてあるかは、開いてみないと分かりません。そして、いつ書かれたものかは、その前の一通を開かないと分かりません。