三井松島HDから撤退した2022年8月の約3ヶ月後、井村氏はEDINETに次の大量保有報告書を提出する。
2022年12月1日。発行者は住石ホールディングス(1514)。やはり石炭関連企業だった。
住石HDとは何か
住石HDは石炭の輸入・販売を主力とする企業だ。国内の石炭採掘からは撤退しており、海外炭の調達・販売が中心だ。
2022年当時、資源価格はまだ高水準にあった。ロシアのウクライナ侵攻(2022年2月)以降、石炭価格は歴史的な高値圏で推移しており、三井松島HDで資源高の波に乗った井村氏が次の石炭株に目を向けたのは自然な流れとも読める。
大量保有報告書に何が書いてあったか
2022年12月1日提出の大量保有報告書をEDINETで確認すると、保有目的の欄にはこう書かれていた。
「純投資」
重要提案行為等の欄は「該当事項なし」。
三井松島HDと同じだ。ただしある数字が全く違った。
三井松島HDとの決定的な違い
取得資金の内訳を見ると、こうなっている。
三井松島HDは全額自己資金だった。住石HDの初回取得は、自己資金がわずか33万円で、残り約10.8億円は野村證券と東海東京証券からの借入だ。取得資金の99.97%が借入金だった。
信用取引を最大限に活用した、攻撃的な入り方だった。
14.19%まで積み上げた1年間
初回の7.65%から、井村氏は買い増しを続けた。
約1年かけて保有割合を倍近くまで積み上げた。最大保有時の取得資金合計は約23.8億円、このうち借入は約15.2億円だった。
2週間で撤退した記録
2023年11月に入ると、状況が一変する。
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11月1日:602,800株処分
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11月2日:329,900株処分
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11月6日:310,000株処分


2週間で14.19%から3.88%まで、約10%分を売り切った。最後の変更報告書は「変更報告書(短期大量譲渡)」という書類だ。短期間に大量の株式を売却した場合に使われる特殊な様式で、三井松島HDの撤退時には出てこなかった書類だ。
以後、EDINETに井村氏の名前は出てこない。
次へ
住石HDの株を持ち続けていた2023年5月、井村氏はKaihouという会社を設立する。個人投資家として住石HDを14%超まで積み上げながら、並行して法人格を持つ投資会社への転換を進めていた。そして同年11月、住石HDから撤退。次の大量保有報告書は、個人名義では出てこない。
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