先週のこの連載では、四つの名前が別々の会社に散らばった週のことを書いた。今週は、その逆のことが起きていた。
一つの名前が、いくつもの会社に、日をまたいで出てくる。しかも、先週いた会社に、また戻ってくる。
名前は、オアシス・マネジメント。今週は、この一つの名前だけを、月曜から追いかけてみる。
二週間、同じ名前を目で追う
まず、先週のオアシスから。
保有目的のラベルは、どれも「重要提案」。四社に、それぞれ大きめの割合で載っていた。
そして今週。
最後の一行で、あれ、と手が止まる。インフォマートは、先週の水曜にもいた名前だ。
今週、オアシスの名前が出たのは、この火曜と水曜だけだった。月曜も、木曜も、金曜も、通知にオアシスはいない。毎日どこかに顔を出していたわけではない。それでも、出てきた二日のうちの一日で、先週いた会社にちゃんと戻ってきていた。数を打っていたのではなく、狙って戻ってきたように見える——とまで書くと、これはもう線の引きすぎになる。事実は「二日出て、うち一日は先週と同じ会社だった」。そこまでだ。
6.26%が、7.49%になっていた
先週水曜のインフォマートは6.26%。今週水曜は7.49%。
ちょうど一週間で、同じ提出者が、同じ会社の割合を、少し増やしている。どちらも変更報告で、増加方向だ。
原本を二通開くと、番号は変更報告書の(1)と(2)で、きれいに連続していた。二通目の「直前の割合」は6.26%。先週の一通目とぴたり合う。同じ提出者が、同じ会社を、続けて報告している。それだけでなく、二通目の後ろのほうにある取得の記録には、7月15日から22日まで、ほぼ毎日、六十五万株前後を市場で買った跡が並んでいた。
つまり「戻ってきた」というより、先週から今週へ、ずっと買い続けていた、というほうが近い。通知の上では「先週6.26%、今週7.49%」と二つの点だが、原本の中では、その点と点のあいだが毎日の取得で埋まっている。
これが、今週いちばん目を引いた動きだった。派手な新規でもなければ、大幅な増減でもない。ただ「先週いた場所で、今週も静かに買い続けていた」というだけ。
でも、一日ぶんの通知だけを見ていたら、たぶん気づかない。水曜の通知には、その日の一行しか出てこないからだ。先週の水曜と今週の水曜を、自分で並べて、はじめて見えてくる。
一つの名前を追うと、何が見えて、何が見えないか
同じ名前を週で追うと、その主体が「いま何をしているか」が、点ではなく線で見えてくる。
オアシスは、業種のちがう複数の会社に、「重要提案」のラベルで、比較的大きな割合を持ち続けている。一社に一撃、ではない。何社にもまたがって、時間をかけて。インフォマートのように、いったん載った会社に戻ってきて積み増すこともある。
ただ、ここでも線を引きすぎないようにしたい。
追えるのは「同じ名前が、いつ、どの会社に、何%で出たか」まで。そこから「業界ごと狙っている」とか「次はどこだ」と読むのは、開示ではなく、こちらの想像だ。「重要提案」という四文字も、EDINETが決めた区分であって、その主体の頭の中を写したものではない。追いかけることと、決めつけることは、ちがう。
ただ、その「重要提案」という四文字の下に、どれだけの中身が畳まれているかは、原本を開かないと分からない。さっきのインフォマートの報告書には、保有目的の欄が長い文章で書かれていた。経営陣との対話を続けたい、という趣旨から始まって、重要な財産の処分や事業の廃止について提案している、今後一年のあいだに役員の選任や組織再編といった項目についても提案する予定がある、と続く。通知の一行では『重要提案』とあるだけだが、原本ではここまで具体的に書いてある。
だから、ラベルだけを見て「意図」を決めつけるのも早いし、ラベルを軽く見て通り過ぎるのも、もったいない。ラベルは入口で、中身は原本にある。追うなら、気になった一件は開いてみる。それが結局いちばん確かだ。
ついでに、同じ週に、もう一つ"追える名前"がいた。
MI2は、プリモグローバルホールディングス(367A)を、先週9.24%、今週10.33%と、一%きざみで積んでいた。メタルアート(5644)でも21%台まで。オアシスが大きな割合で何社にも持ち続けるのに対して、MI2は一つの会社を、細かく、少しずつ。同じ「⭐の常連」でも、歩幅がずいぶんちがう。
そして、どちらも、一日だけ見ると地味だ。週で並べて、はじめて形になる。
通知は、一日ぶんしか映さない
毎日の通知は、その日のできごとしか映せない。
先週の水曜と今週の水曜を並べて見比べるのは、いまのところ、読む人の手にゆだねられている。この連載を毎週やっているのは、その「並べて見比べる」を、こちらで一度やっておくためだ。点で届いたものを、週の終わりに、線に戻してみる。それだけの作業だけれど、点のままでは見えないものが、たまにある。
先週は、四つの名前が別々の会社に広がった週のことを書いています。今週の「一つの名前を追う」と、ちょうど裏表の話です。あわせて読むと、⭐の見え方が少し変わるかもしれません。
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