7月8日の夜、その日のサマリを眺めていて、まず目を引いたのはガンホーだった。ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)の保有割合が、10.51%から13.67%へ。+3.16pt。提出者は株式会社ストラテジックキャピタル。この提出者が今週出した報告のなかで、ずばぬけて大きい数字だ。
一件だけ見れば、こう読める。「ずいぶん買い増したんだな」と。
でも、同じ報告書の別の欄を見ると、話が変わる。
その+3.16%は、買っていない
保有株数は、726万7500株。前回と、同じだった。一株も動いていない。
割合だけが上がったのは、発行済株式数が減ったからだ。分母が縮めば、同じ株数でも「全体に占める割合」は勝手に上がる。なぜ株数が動いていないのに割合だけ動くのか——その仕組みは前にきもとの回で書いたので、ここでは結論だけ借りておく。「増えた」は、いつも「買った」とは限らない。
提出のきっかけも、買い増しではなかった。理由の欄には「担保契約等重要な契約に関する変更」とある。保有目的ラベルは「重要提案」。ただしこのラベルは目的の欄の話で、その日に株を買ったかどうかは、また別の欄にある。
では、この提出者は今週、実際には何もしていなかったのか。答えは逆で、ガンホーの一件の裏で、別の三社では本当に株を積んでいた。
二営業日、さかのぼる
ガンホーの報告から二日戻ると、同じ提出者の報告が、別の会社で続けて出ていた。日付順に並べる。
同じ株式会社ストラテジックキャピタルが、三営業日で、別々の三社を実際に買い増していた。保有目的ラベルは、いずれも「重要提案」。
派手さと、実際の動きが、ねじれている
一件ずつ眺めると、目に飛び込むのはガンホーの+3.16%だ。数字は大きい。でも、買いではない。逆に、実際に株を積んでいたA&Dホロン・ゴールドクレスト・ニップンは、一件ずつなら「+1%前後の、よくある報告」として、その他大勢のなかに紛れて流れていく。
派手な数字が買いとは限らず、地味な数字のほうが実際の買いだったりする。この仕分けは、一件だけを見ていると立ち上がってこない。同じ提出者の名前で束ねて、日をまたいで並べて、はじめて見えてくる。
一日だけ見ていたら、順序が逆に見えたはずだ。ガンホーが「今週いちばん動いた」ように映り、三社の買い増しは翌朝には記憶から消えている。
束ねると、像になる
大量保有報告は、一日に何十件も出る。その一件ずつは「ふーん」で流れて当然のものだ。人が普通に眺めていれば、ガンホーの+3.16%だけが残り、三社の地味な買い増しはこぼれていく。
でも、提出者ごとに束ねて、日付順に並べておくとどうなるか。「見かけだけの増加」と「実際の買い増し」が分かれ、三営業日ぶんの動きが、ひとつの像になる。それを毎朝、自動で並べておく——というのが、Martifyがやっていることだ。
前に、「⭐がつかないから見落とす」買い手の話を書いた。純投資というラベルがついているだけで、大きな買い手が通知で目立たなくなる、という話だ。今回はそれと似ていて、見落とす理由が「一件ずつだと気づけない」に変わっただけ。どちらも、ひとりで眺めていたら見逃すものを、まとめて並べて拾う、という同じことをしている。
大量保有報告書をなるべく早く受け取りたい方は、ぜひMartifyをお試しください。ベータ版のいまは無料です。