はじめに
エリオットが東京ガスに現れた話、オアシスが花王に1,490億円を投じた話、そして個人投資家が法人を作って取締役候補になるまでの話を書いてきた。
個別の事例を追っていると昔からあったのかもしれませんが、「最近こういう話が多いな」という感覚があった。
その感覚は、数字でも裏付けられていた。
2024年、133件・前年比55%増
日本経済新聞の集計によると、2024年に保有目的に「重要提案行為」と記載した大量保有報告書は133件にのぼり、前年比で55%増だった。
「重要提案行為」とは、株主として企業の経営方針や役員人事などに関する提案を行う意図を示すものだ。大量保有報告書の保有目的欄に「純投資」と書かれていれば株を持っているだけ、「重要提案行為」と書かれていれば経営に口を出すつもりがある、と読める。
この区別についての詳細はこちらの記事にまとめている。
大量保有報告書のどこを見ればわかるか
大量保有報告書の「保有目的」欄を見ればいい。
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「純投資」→株価上昇・配当目的で保有、経営関与の意図なし
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「重要提案行為」→経営方針・役員選任などへの提案意図あり
このシリーズで取り上げた事例でいえば、エリオットが東京ガスに登場したときも、オアシスが花王に現れたときも、報告書の保有目的欄に「重要提案行為」の記載があった。
外国勢だけじゃない
アクティビストというと外資系ファンドのイメージが強い。エリオット(米国)、オアシス(香港)はその代表例だ。
ただ、2024年の動きはそれだけではなかった。
ブルームバーグによると、2024年のアクティビストによる日本株買いは年初来で1兆円超、4年ぶりの最高水準に達した。日本株の投資主体として、自社株買いを行う事業法人に次ぐ存在感になってきたという。
さらに国内に目を向けると、個人投資家が法人化してアクティビスト的な動きをする事例も出てきた。直近でいえば、このシリーズで追った地盤ネットHDへの関与がその一例だ。
株主総会の場でも変化は起きている。大和総研の集計P9では、2024年6月の株主総会シーズンにおける株主提案数は113社と過去最高を更新した。
なぜ増えているのか
東証は2023年以降、PBR1倍割れ企業に対して資本効率改善を求める方針を打ち出した。割安に放置された企業が増配・自社株買い・事業売却に動けば株価が上がる。アクティビストにとって狙いやすい環境が整ってきた。
大量保有報告書を読む意味
2024年に起きたことを一言でまとめると、**「大量保有報告書が経営の警戒信号になってきた」**ということかもしれない。
かつては5%を超えた機関投資家の名前が淡々と並ぶ書類だった。それが今は、「重要提案行為」の4文字が記されると、翌日の株価が大きく動く書類になった。
このシリーズを通じて書いてきたように、大量保有報告書を読むことは「誰が・どんな意図で・どれだけ持っているか」を把握することだ。その意味が年々大きくなっている。
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